シークレットドア

シークレット・ドアはアンネの日記よりヒントを得ました。

連合軍の飛行機を見ると コンクリートのシャワールームに逃げ込みました。
アンネを鮮明に覚えていたのは 彼女が毛皮を着ていたからです。
この環境の中でありえないと思っていました。
もちろん着古した感じのものでした。
新しく収容所にくる人たちは、とにかく食べ物をほしがった。
私の母はタバコが大好きだった。
だから彼らが持ってきたタバコと 僕の配給分のパンを交換してもらった。
アンネもたぶんそうして毛皮を手に入れたのかもしれない。 (アリー セリンジャー)

トワールとパタンネイルングの関係

項目 10-925

コメント 参考図・写真
トワールとパタンとネイリングの関係

(A)毛皮の特性を理解してトワールを組みます

厚手のシーチング(トワール)で仮縫いします。

(1)毛皮は素材としては、布地より厚く、ゆるみとしてのトワール上の小さなシワはおおきな外回りのふくらみになります。

(2)毛皮は重量が無視できません。垂直に落ちるFC(または前端し)、脇 線、BC(後中心)が自然に垂直線にななるようにしし、フレアーなどは前脇、後ろ脇で出るようにしておくとよい。出したフレアーは重さのため、身体に近づこうとして、トワールで身体から最大離れている位置がずれることがあります。

(3)見返しも毛皮であるため、打ち合わせ部分は毛皮が4重になり、厚み分を見ておく必要があります。厚み分は前裾上がりの原因にもなります。

(4)ウエストなどシェイプする為のダーツや肩ダーツ、胸ダーツは布地のように縫い目が外からみえません。効果のあがる、適切な位置(シルエットやシワのでにくいところ)でつまんでおくとよい(ミンクなど毛足のある毛皮は布地のプリンセスラインやパネルラインにこだわることはありません。ロシブロやスワカラなどでもネイリングで切り替え線を消してしまうことができます。)
毛皮製品の特性として、連続性が尊重されていることでデザイン上も商品価値も格段に違います。そのために「ここで縫われてます」と分かるような毛使いは避けるようにし、パタン上、繋げられるものは連続するよう工夫します。

トワールからパタンに写し直す時、すべてのダーツは毛皮のハギ線(コネクション方向)に移動させます。シェイプや切り替え線ははカイルという操作で毛皮を張り直ししたり、きびすを入れたり、ツマミ張りして連続性を保つようにします。 これによってあらゆるダーツやシェイプの為のカットラインをなくすことが出来るのが毛皮の優れた特徴です。

(5) 布地のように規則的なバイアス方向はありません。むしろ紙に近いと思われるとよいと思います。
1枚の毛皮は部位によって上下、左右、バイアス(斜め)方向に伸び具合は全く異なります。

以上のことを基本的に理解して半身を立体でトワールを組み、両身トワールをお客様のボデーで仮縫いします。平面製図からトワールを組む場合でも、適応するお客様のボデーに近いトルソーでトワールをチェックしてから仮縫いします。

(B)トワール仮縫いの方法・手順・注意事項

採寸してお客様に近いトルソーでトワールを組んでも、実際のお客様のボデーでは違いが出るのが普通です。

一般的なコート(へチマ衿、付け袖、ややAライン)で説明します。
フィテイングに掛かる時間は15~30分位です。

トワールを着ていただき
(1)デザイン、(2)分量感 (3)バランスをお客様とおおまかに確認します。
その時点でお客様の方からデザイン変更を申し出る方もございます。
大きなシワ、タイトな部分、前オガミ、脇線、裾上がり、アームホール、カラーなど目でチェックしてお客様の了解を得てから右半身をフィッテングします。
右半身のピンワークは身頃、袖、衿の順にピンワークしてゆきます。

(1)衿と袖をはずします。

(2)ネックラインを確認します。

(2)ショルダーラインをはずし、パッドが適切についているか確認します。

(3)脇線をはずします。

(4)胸の張り具合や前拝み、逃げを見ながら ショルダーラインを止めます。

(5)前身、後身で脇線は必ずズレが出ますので、前後のバランスとバストラインの緩み具合を見ながら、裾回りに注意しながら脇線を止めます。

(6)ウエストラインのシェイプがある場合ツメ具合を確認します。
この時点でボデーのシルエットラインが完成します。
補正してない左半身と右半身の違いを確認していただけます。

(7)床上がりを確認します。

ショルダーポイント、背巾線、胸巾線を確認し、AHの深さを確認します。
お客様の腕底から最低5cmは必要です。楽にお召しになりたい方は5~8cmの間で決めます。デザイン上もっと深くする場合もあります。その分袖巾は広くなります。
(8)袖付けします。
ショルダーポイントから前後10~12から15cmくらいまできれいに付くようピンワークします。その以下の部分は大体のピンワークでアームホールを決めてゆき、正確には後でトルソーとパタン上で再度確認します。袖山の高さは16~18位で調整します。毛皮は重たいので袖山の高さを18cmすると緩みも少なくきれいですが、袖を前後に動かした時、身頃まで一緒に動かされることになり、更に重く感じられることがあります。袖は袖である程度単独で動けるようにしてあげた方が良いようです。それで16cmがある程度基準になります。

袖の太さ、袖口の広さ、長さを確認します。

(9)マーキングをしておきます
ボデーは垂直線を決めるウエイター(錘)でBC、FC、脇線をマークします。
袖は肘線と腕のフリを確認する為に、トワールの袖に肘位置を手首位置を身頃にマークします。
手首位置はポケット位置など決めるのに便利です。
また袖をつけたことによりコートが前に振れてしまうことがあります。袖のフリと実際のお客様の腕のフリが一致しない為です。脇線に対して3cm位前にフレル方から10cm位の方までいらっしゃいます。シルエットがタイトのものほど注意が必要です。

(10)衿を取り付けて、返り線、 ショルダーラインをマークします。
身頃の毛足分、地衿の毛足分でショールカラー、テーラードなど返り衿の場合衿の外回りが不足してしまう場合があります。小指が入るユルミ分などを確認しておきます。

(11)器具の取り付け位置を確認します。
カギ、ケスカ、ボタンホール、ボタン位置、ループ位置など

現在のお客様は皆さんバランス感覚に慣れています。テレビや雑誌などでたくさんのスタイルを見ています。お客様のボデーで仮縫いしても、もう一度、お客様に近い標準的なトルソーでトワールを確認します。バランス感覚を見るためです。

トルソーは5号から15号まで、8体くらい用意しておきます。お客様の寸法に合わせてパッドなどで肉付けして、お客様のボデーに近づけておきます。

ご年配になると背丈が伸び、前丈が短くながちです。
特殊なお仕事で左右異なった肉付き、手術後の体型変化など対応は短時間の内に済ませなくてはならず、ちょっと大変ですが、トワールでの仮縫いが一番パタンに反映し易く便利です。

大女優で有名な方の仮縫いでビックリしたことがあります。三味線の撥使いの為右肩の後ろネック部分に大きなコブのように筋肉が隆起しておりました。さすが!と思いました。
すっかり腰が曲がってしまったお年寄りの方に、トワールを着せ、鏡を床に斜めにして仮縫いしました。瞬間ぱーとすばらしい笑顔になり感動しました。

この部分の記述は図版とともに
順次記載してまいります。

shwlcl
(1)毛足(連続性)を無視して型入れする
cutonly
(2)カットを入れて
重ね張りして
連続性を保つ
kasanebari
(3)ツマミ張り(カイル)操作でカットなして
tumami
(4)張替えすることにより
カットなしで 連続性を保つ
harikae
身頃も同じく
(1)カイル操作
(2)張替え
などでカットなしで
ダーツ分やシェイプ分を
作り出すことができます
harikae
Aラインのオリジナルコートを デザインに合わせて
ウエストシェイプ する場合
ウエストラインで張替えますオリジナルハーフ
aoyama-org
デザイン画
aoyama-dsn
topnail
ウエストラインで張替え
CIMG1969
ウエストシェイプ出来上り

7つの製作要素

項目 10-430

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毛皮製品の製作にあたり考慮する7事項

毛皮製作における7つの基本事項(hexagon)

7flower

1品質     高い~低い、キズがある~ない、希少価値

2面積    原皮の1枚大きい~小さい、製品が大きい~小さい

3重さ     素材が重い~軽い、製品が重い~軽い

4加工方法  手が混んでいる~シンプルな加工

5デザイン性   フォーマル~カジュアル、

コンサヴァテッヴ~アドヴァンス

6リフォーム性  可変性(flexibility)が高い~低い

7耐久性      素材の強度高い~低い、製品のメンテナンス

hexsgon
製品の位置付け用チャート

1品質

原皮オークションのトップクラスのものは色、毛質がそろっており均一な製品を作れる重要な基盤です。

その後のナメシは皮面の柔らかさ、伸びの良さなどに影響します。

最近は1枚仕立てでリバーシブルもあり、裏側の皮面の加工も重要になりました。この場合、皮面に傷がないことも必要な条件になります。

ミンクでは刈毛(シェアード)、抜き毛(プラクト)、染色(ダイイング)技術によって毛質の風合いを変化させ、オークションでの品質以外に気をつけなくてはならない部分があります。

2面積

1枚の原皮の有効な面積と、作る製品の必要面積を捉えておくと、いろいろな計算に役立ちます。

基本的に、 必要面積(PTS)÷1枚の有効面積(SKS) で必要枚数が出ます。

ptsfg

パタンから必要面積を求めます。

1980年代初めは まだ手書きと計算機で面積を集計しました。その後ワープロに搭載された表計算機能(スプレッドシート)を利用しました。

(株)シャープとは連携してパスル15というソフトを開発しました。1988年フランクフルトメッセで公開いたしました。

やがてマイクロソフトのエクセルに代わりすべてにおいて作業は楽になりました。

mink-skin-figure

原皮の有効面積は製品にしてトラブルの出る部分を削除した、長形か台形で面積を求めます。

ミンクはオークションですでにサイズが決まっており、現在は000、00,0,1,2,3,4サイズと長さで表示されます。

ミンク原皮有効面積(SKS)は
当社では以下のように設定しています。

サイズ 000   00   0   1   2   3  4
オス 1200、1100、1000、900、800、700、600
メス                    700、600

3重さ

出来あがった製品が重すぎると着ていただけません。 100cm丈以上のコートで最大1.7kg以下に、出来れば1.4kg以下にしておくと何度も着ていただけます。

各素材を10*10cm(1デシ)単位で重量を測っておくと、PTSから原皮の重量を推察できます。

g@100

bigfssn

最上段は100平方センチ当たりの毛皮の重さ
SU=1は24000平方センチのコートです。
下段はそれぞれの素材を使った場合のコートの毛皮部分の重量を示してします。

4加工方法

デザインとも関係します。 レットアウト、スキンオンスキン、テープイン、異素材との組み合わせなどによって大幅に加工時間が変わります。 それぞれの加工技術で毛皮部分を仕上げる作業時間を把握しておけば、時間当たりの作業面積(WSH)が把握できます。

製品のPTSが分かればPTS÷WSHで作業時間が算出できます。

各作業セクション(デザイン、トワール、パタン、原皮、組み立て、裏立ち、裏付け)でWSHを調べ出しておくと見積もりがし易くなります。

特に原皮部分のコネクション(縫い合わせ)時間が一番変化の幅が大きいはずです。

5デザイン

ファーは布帛と違いシーズンは年1回、価格高ということもあり、デザインの冒険はし難い素材です。 各都市のコレクションで発表されたファッションラインは最初の3年が提案期、次の3年が受用期、そして次の3年が一般化期と9年くらいのスパンです。ファーは布帛に先行することなくファッションの後追いとならざるを得ません。中にはいち早くトレンドを読み取れる方もいらっしゃいますが、ほぼご自身のライフスタイルに合わせてデザインを選定するように思われます。ややフォーマルなものから、リフォームでカジュアル傾向にして行くようです。

1960年代はタイトなフィット・ファッションで、ツイッギーのミニ時代を経て、DCブランドが台頭し、1980年代ショルダーを強調した、ルースなビッグ・ファッション、その後2000年代再びタイトなスタイルへ、というのが大きな流れです。

6リフォーム

毛皮は可変性のある優れた素材です。ただ丈や幅を寸法上カットしたり、足したりするだけでなく、1枚のスキンに分解することができます。水張りすることで形を変えることもできます。現在のデザインをまったく無視してあらたなデザインに挑戦できます。それは革のように完全ナメシではなく、半ナメシという状態にあるためです。

次のリフォームを考えて縫製をしておくとよいと思います。皮張り時点でも強く張りすぎないようにしたり、強すぎる接着芯は避けたり、原皮に余裕を持たせておく必要があります。最初は素材の良さを重視して、デザインし、リフォームでカジュアル志向にされる方が多いようです。

7耐久性

毛皮本来の耐久性もありますが、製品になってからの管理状態も耐久性に大きく影響します。 シルクなどと同じく、光、熱、湿度に影響されやすい素材です。うっかりすると高温多湿の日本の夏場は「毛皮は思い出したくもない」という時期こそ保管には十分気をつけてください。

リフォームの体験から毎年夏場毛皮専用の保管庫を利用されている毛皮の状態はかなり良好です。リフォームでもいろいろな加工技術に耐えられます。

以上7つの要素を加味して毛皮は製作され、
製品の価値,価格が決定されます。

お客様の中に、ある有名なホテルで火災に会われた方がいらっしゃいました。避難されるときベッドの上に大切な毛皮のコートを置いてきてしまわれました。ところが火事が収まってびっくりしたことに、毛皮のコートそのままの形をしてベッドがその部分だけ焼け残っていたそうです。毛皮の特異性が伺われるエピソードですね。

北極圏に行かれた探険家が毛皮のライナー付のコートから、軽くて人工素材の中綿入りアノラックで行ったところ、汗がすべて凍ってしまい、重い甲冑を着ているようになってしまったそうです。以後はやはり毛皮のライナーにしたという記述を読みました。暖かさだけではなく外気との遮断性も優れている素材です。

オークションはレニングラード、コペンハーゲン、ロンドン、モントリオール、トロント、ニューヨーク、札幌などでおこなわれました。

北米の有名なHudson Bay会社のことは三浦綾子の「海嶺」の中にもでてきます。
fox-skin-figure

フォックス
800~1800平方センチ
broadtail-skin-figure

アストラカンブロードテール
600~700

スワカラ
600~700

ロシアンブロードテール
500
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ヌートリア
500~600
sable-skin-figure

セーブルフィッチマーテン
500~600
chinchilla-skin-figure

チンチラ
200
CIMG0219

CIMG0221

皮面をスエード加工した1枚仕立てのリバーシブルミンク

毛面だけでなく皮面の仕上がりも重要になりました。

ミンクのスキンオンスキンだと原皮作業セクションで500~800WSHですが、レットアウトだと225~350WSHです。

CIMG0221

twigy(小枝ちゃん)

Daivit Kaplanの
耐久比較リスト参照

思い出1

項目 10-420

コメント 参考図・写真
美智子皇后様がサファイアミンクのストールをお召しになったことをきっかけに日本でも毛皮ブームが起こりました。

1964年東京オリンピックも終わり、学生の頃恩師の紹介で、アルバイトでタカモトに来ました。

ここはこうして・・・・と現物現場指示、ココをなんと呼ぶの?コノ方法はなんと言うの?

ほとんど言語化されていないんだ、とビックリ。一般社会では人間の気持ちでウキウキした気分は”うれしい”とか”HAPPY”と言語化されているけど、ここは砂漠だと思った。と同時に処女地だと思った。よーし言語化、数値化、記号化してやろうなんて思ってしまった。

社長が当時デンマークで原皮の買い付けの帰り、ニューヨークから買ってきてくれたサミュエル・ラファエルの毛皮技術書が大変役立ちました。57種類の毛皮の縫製注意事項や手順が書いてあるものです。

オートクチュールが全盛の時代だから先生方からお客様をご紹介されました。

ot
鈴木宏子先生からは最初「毛皮のカタマリね」ともいわれました。先生はネルでトワールを組んで、どんなパーツも必ず左右異なったパタンで、外回りになる分など確実にトワールにあらわせる方でした。

鈴木先生デザインのデミバフミンク
OT様は今でも大切にお召しいただいています。

それから40年以上、とうとう毛皮縫製にだけに携わってしまいました。

毛皮の使い方で悩んで新しい方法を発見したりすると、動物は毛皮になってもこうやって生き続けたいんだ。動物がヒントを与えてくれるんだなーと思えて心が繋がったようで落ち着いた気持ちになりました。一種のサトリなんですね。

最近オポサムのマフラーをいただいた。大変軽く暖かいもので,
毛皮の素材としては安いのですか、軽く、染色の効く素材で、使い捨てるのが気になっておりましたが、最後の最後まで使えるんだと、とても安心しました。

毛皮反対運動の時代、バブリーな時代もありました。

多くのお客様にご贔屓、ご支援いただきここまでやってこれました。

テレビやステージでも毛皮を使っていただきました。

ナイン(細川俊之と宝塚趣出身のゴンちゃんという女優さん主演)というミュージカルでは大学でシングの研究家の甲斐満里子先生が翻訳をされていて、意外な再会。

お客様の中には、毛皮は3回くらいリフォームしてやっと自分のものになるわね。とおっしゃられる方もいらっしゃいます。

大事に数度リフォームを繰り返せる毛皮はすばらしい素材です。大げさですが、命を預かっているという気持ちにさせられる不思議な素材です。
娼婦と毛皮屋は人類最古の職業だなんて、ほんとそうですね。

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セーブルとハーブの集いをプロデュースしていただいた脚本家のAS様のチンチラマント、飛行機の中でチンチラに包まって眠りたい・・・とおっしゃっていました。

チンチラと木馬のリボンで色々な手法を使って繋ぎ合わせました。リボン・モチーフの製作者はカナダ恵子先生

妃殿下がテニスで履かれたホワイトソックスもブームになりました
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サミュエル・ラファエルのファークラフトマンシップ
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セーブルとハーブの集い秋篠宮殿下、妃殿下に お越しいただきましたシング(Syng)

アイルランドの劇作家、
「海に乗り行く人々」などが代表作
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アボリジニ文様のオーストラリアン(オ)ポサッムの毛糸マフラー

スキン オン スキン(skin on skin)

コメント 参考図・写真
レットアウトに対して、原皮の原型をそのまま利用して縫い合わせてゆく方法

チンチラ、リス、ロリス、

ヌトリア、マスクラット、オポサム

アストラカン、ロシアンブロードテール、ブロードテール、ベビーラム
スワカラ

などに採用され

最近ではミンクなどもこの方法で作られることが多い。

コネクション(縫い合わせ)の方法はその原皮の特徴に合わせて型があり、毛足の深さや長さに合わせて、できるだけ縫い合わせが目立たない大きさにする。
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コネクションに使ったいろいろな型
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波型を使ってロシアン・ブロードテールのコネクションの皮面と毛面

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オセロットの腑合わせの為にジグザグ・コネクション

Samuel Rapfaelの
Advanced Fur Craftmans hipに紹介されているシェイプ
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チッキャンラムの縫い合わせ
squarareshape
リスのコネクション 毛合わせ(毛足の長さ)を合わせる為に上側の原皮を5mmほど重ねて縫いあわせる場合もあります。

レットアウト(let out)

コメント 参考図・写真
 毛皮の縫製上の最大の留意点は素材の連続性(毛足合わせ)をどう保つかに集約されています。そこに毛皮のいろいろな技術が開発されてきました。

最大の発明はレットアウト(let out)

ミンク、セーブル、フィッチ、ラクーン、リンクス、フォックス、ウイーゼル、マスクラット、ヌトリアなどに採用され

主に長さを出すために使われる技術

Vカット Aカット Wカットがあります。
(Wカットはチンチラ、ビーヴァーなどでグラッツエンを細くしたくない場合用います)

cuts

(左)3mm幅のVカット
(右)縫い合わせたストライプ

body-nailing
ストライプを縫い合わせてボデーに

let-angle
シャープなアングルにするとカットの本数はすくないが1回のズラシは2cm弱でも毛の段は出にくい

角度を寝かす(カットと短くする)と本数は多くカットできるが1回のズラシはメスの場合1cm以下になってしまう場合もある
カットを長くするとカット数は少なくなるが1カットのズラシは1.5cm以上にしても毛の段が見え難い場合があります。

左側は角度がシャープで右側はダル

矢羽カット(アロー:arrow)
グラッツエンを切り離さないカットはブラッククロスなどキャラクターを切り落としたくなく、はっきりさせたい場合に使われる

逆毛レット2種

(1)ヘッド・ダウン
原皮の頭を下(コートの裾)に原皮の尻を上(コートの肩)にする仕様

(2)ターン・アップ
レットアウトのカットを1本ずつ逆毛にしながらレッターする仕様

(2)の方が作業に手がかかる。
また頭部分の毛がそのままコートの肩に来るので
(1)に比べてボリュームが出ず、違和感のない出来上がりになる。
(1)は肩の部分に尻毛が来てボリュームアップしてしまう。

turnup
(1) head down
turnup
(2) turn up let

letoutVcut
本来50~60cmのミンクを3mm斜めにカットとして1cm前後にずらして縫うことによって100cm以上の長さに出すことができます。
shebron-let
2shoku-let1
レット間に5mmのレザーテープ を入れたシェブロン加工ダークミンクとデミバフを交互に縫い合わせた杉綾(サーデーン)模様
turnuplet
すべてのカットを
ターンアップさせた
レット
関連ワード
ターンアップレット、セットイン、幅出しレット、テープイン、シェブロン