アウシュヴィッツのお針子

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ユダヤン人強制収容所で生きのびたお針子の話

ルーシー・アンドリントン(イギリス人)作者は文面から、服飾に詳しい人だと思う。

毛皮についても言及うがあり、間違った記述はしていない。

イレーネはすぐに、ラーフェンスブリュックからの移送者は、
数字の下にヴィンケルと呼ばれる三角形を付けていることに気づいた。
赤の三角形は政治犯、緑は犯罪者、黒はコミュニストなどの反社会的な人々、性労働者などを識別するためのもので、三角形の上の文字は国籍。例えばポーランドはP。その下には番号。
イレーネは2786、妹のエーディトは2787になった。(宇丹喜代実 訳)  

これらの刺繍などや、ナチス関係者やその家族の為に衣服をしつらえることで、お針子として、アウシュビッツで彼女らは生き延びた。

あんな環境のなかで、女性たちが刺繍や、ささやかなタックやギャザーを楽しんだと思うと胸が痛む。

強烈過ぎて、なかなか先に読み進めない。

自分も縫い子の一人だと思うと、何か一体感を感じる。

昔、クラクフからバスで、アウシュヴィッツに入った。その時の写真に確かに三角のマークを見た。

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アウシュヴィッツに行くバス(現地読みでオスウエンシム)

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木村さんという現地の解説者

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シャワー室に見立ててガス室

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カマドと思ったらトイレ

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ベッド

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お針子たちがしつらえたのだろう

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次々と到着するユダヤ人

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ミープがアンネに荷物を放り投げた高圧線の鉄線もこんなものだったろう。

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失敗を心配するアンネにミープは
「心配はいらないわ、私バレーボールの選手だったのを覚えてる」

アンネは最後までグレーの毛皮のジャケットを着ていたそうです。
ああいう過酷な中で、新入居者と食事を交換して手にいれただろうと推測されます。
アメリカチームのバレーボールの監督だったセリンジャーの母が証言しています。

ファーニャが就かれた強制労働は、国防軍に毛皮を供給するフリードリッヒ・ロードの会社での作業だった。毛皮を通じて、ロンドンやパリととくに強いきずなで結ばれていた。“メッセ”という年1回の貿易見本市に世界中の人々が訪れた。ブリュールの倉庫や作業場では、あふれんばかりの毛皮が競売にかけられ、大量に買い付けれれたあと汚れを落とし、染色され、なめされ、等級を付けられた。

ひとたび加工されると、毛皮は丸めて束ねられ、その後縫われて衣服になる。

毛皮の仕事は高度な技術を必要とし、専門従事者はユダヤ人が圧倒的に多かった。

皮は必ずハサミではなく、刃物で裁断し、先端が鋭利な三角針で縫う。温度管理が重要で、皮が腐ったり乾燥しないように注意しなくてはならない。裏地をつけて、ブラシをかけた毛皮の衣服は、見るものをうっとりとさせ、着ればとても暖かい。(p.87)

(実際は鞣されてから、染色されるはずです。三角針といういい方は多分日本の毛皮業者の言い方です。
等級が付けられて、サイズが表示されることによって作業はその分楽になります。その等級の付け方でオークションのレベルが決まります。現在ヘルシンキSAGA、コペンハーゲンKOPENHAGEN、トロントNAFA、サンクトペテルブルグSOBOLなどがあります。)

CIMG6585毛皮の縫製に必要な手道具(右から片刃ナイフ、替え刃ナイフ、三角針、銀のクシ、ピック)

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水張り用のガンアタッカー(右コンプレッサー用、左手動)

現在も毛皮に携わるユダヤ人は多い。それも比較的高級な物、ロシアンセーブル、ロシアンブロードテールなどは、彼らの得意とする分野です。

その後、解放され生き延びたお針子たちは、解放の途中で死亡したり、再び縫製関係の仕事に就かれた方もいるようです。イスラエルに戻った人、悪夢から逃れて、アメリカに渡ったユダヤ人は多いようです。

おばあちゃんになったマルタは、孫から「腕のその番号はなに?」と聞かれ
これはね、神様の電話番号よ」と答えたそうです。
ガス室の煙にならない限りはここから自由になれない、と思っていた方々の達観したせつないユーモアですね。

 

私は、大学の青年心理学で「マージナルマン:周辺人」という概念を教えられ、マイナーな人間に興味と共感を持つようになりました。思春期の青年はオトナという大社会とコドモという大社会のどちらにも所属できず周辺にいる、という概念です。日本におけるアイヌ、朝鮮人、世界のおけるユダヤ人、イギリスにおけるケルト人や性的マイノリティー、身障者、社会的弱者、みなマージナルマン(marginal man)。

マージナルマンの中には20世紀の科学をリードした世界的な人がいる。
社会科学ではマルクス(資本論)、
自然科学ではアインシュタイン(相対性理論)、
人文科学ではフロイト(深層心理、精神分析)はみなユダヤ人です。

アイルランド文学の授業で、アラン島を主題にしたSyng(シング)の「海に乗りゆく人:Man of Aran」でアラン島に行くことにしました。一緒に行った恩師がそのままわたしの名前にしくれました。

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